2016/12/08

Adam Eatonをトレード獲得(Lucas Giolito, Reynaldo Lopez, Dane Dunningを放出)

ウィンターミーティング中の12月7日、大型トレードがまとまりました。相手はホワイトソックス。ホワイトソックスとの間では、つい先日Chris Saleのトレードについて合意寸前まで行った(結局はレッドソックスに奪われていました)のですが、その下交渉を踏まえてのことでしょう、外野手のAdam Eatonを獲得し、Lucas GiolitoReynaldo Lopez, Dane Dunningの3投手を対価として放出することでまとまりました。

まずは獲得したAdam Eatonについて。

Adam Eaton (2016 for White Sox) 
157G 706PA 14HR 63BB 115K .284/.362/428 14SB

左投げ左打ちの28歳の外野手。キャリア5年間の打撃成績は.284/.357/.414と、上位を任せられます。メジャーデビューしたころはパワーはありませんでしたが、直近は2年連続で14本塁打を放つなど長打力もついてきており、通算54盗塁とまずまず足もあります。今季はもっぱらライトを守りましたが、本来はセンター。守備力(特に肩)は高い評価を受けており、センターのレギュラーとして期待されます。

元々は、2010年のドラフト19順目でDバックスに入団。軽く3割を超える打撃成績を続けて、2012年のセプテンバーコールアップで早々とメジャーデビュー。翌2013年は故障で出遅れましたが、7月以降はレギュラーに定着。そのオフ、エンゼルスも巻き込む大型トレードでホワイトソックスに移籍すると、以降はリードオフとしてキャリアを積み重ねています。

上に書いたの数字だけを見るとそこまでいい選手のようには見えないかもしれません。オールスター選出もなければ、個人タイトルもありません。が、実は高い評価を受けています。打撃、守備、走塁の貢献をすべて加味したFangraphsのWARでは、今季6.0(平均的な選手と比べて1人でチームの6勝に貢献したという意味)を記録し、これはMLBの全野手で11位という好成績。しかも、この数字を3シーズン続けて伸ばしています。ちなみに、ナショナルズの選手ではDaniel Murphyの5.5(17位)が最高でした。もっと言えば、パイレーツからの獲得に向けて交渉しているとの情報が流れていたAndrew McCutchenに至っては、直近3年続けて低下させ、今季は0.8でした。

Eatonが魅力的なもう1つのポイントは経済面。年俸調停対象1年目となった2015年のシーズン前にホワイトソックスとの間で5年契約を結んでおり、このうち2017年から2019年までの3年総額1840万ドルという主力選手としては格安な契約をナショナルズは引き継ぎます。さらに2020年950万ドル、2021年1050万ドルという、今の活躍を続けていれば当然行使されるであろう球団オプションも付いています。こういう契約で主力選手を抱えることができると他の補強に資金を回すことができ、チーム力のアップにつながることが期待されます。

これから少なくとも3年間、あるいは5年間、チームのセンターを守って、打撃でも貢献してくれることを期待していい選手です。

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当然、これだけの選手を獲得するには高い代償を支払うことになりました。先日記事にしたBaseball Prospectusのランキングでは、Lucas Giolitoが2位、Renaldo Lopezが3位、Dane Dunningでも7位。主なプロスペクトをごっそり差し出すことになりました。

GiolitoとLopezの経歴については今更言うまでもないと思います。Giolitoの株はプロスペクトとしての評価が最も高かった今年の夏からするとかなり下がっており、低値で売ることになったという印象は否めません。もっとも、今季のメジャーでのピッチングを見せられるとそこまで期待感を持てないという印象が残っていますので、そこまで惜しい気がしません。是非ともこの私の印象を裏切る大投手になってください。個人的にはLopezのほうが惜しいですね。100マイル近い速球にキレのあるチェンジアップで三振の山を築くことができ、ファンがわくわくするピッチングができる投手でしたから。それにしてもマイナーをほぼ同じペースで上がってきたGiolitoとLopezの2人。ここでもそろってトレードされることになりました。

そして3人目のDane Dunningは今年のドラフト1順目29位(ナショナルズにとっては2人目の指名)で入団したばかりの右腕投手。Prospect Profilesの記事を準備していましたが、ボツですね。。。カレッジワールドシリーズが終わってからの契約でしたが、New York Penn League(SS)の打者を圧倒して評価を上げていました。アジア系の顔付きということもあって気にかけていたので、少し寂しいですが、これからの成長を遠くから見守っていきたいです(元々かなり遠くからでしたが)。

プロスペクトランキング1位のVictor Roblesを守り切ったことは評価していいと思います。投手の上位プロスペクトがごっそりいなくなった(先日のBPのトップ10では5位のErick Feddeしか残っていません)のはかなり心配ですが、即戦力ならA.J. ColeとAustin Vothが残っているし、若手なら、Tyler Watsonをはじめとする近年の高卒組が控えています。

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以上を踏まえると、高くはつきましたが、許容範囲のトレードだと思います。4人の選手がそれぞれに力を発揮し、両チームに貢献するWin-Winのトレードになることを願っています。

4 件のコメント:

5年目のNatsファン さんのコメント...

こんばんは。Rizzo GMやりましたね。いい補強だと思います。
1番センターと言えばSpanを思い出しますが、Eatonはそれ以上の働きを見込める選手だと思います。
ただ一つ心配なのが、守備です。今年は確かに成績が良かったのですが、メインポジションはライトでした。これまで MLBでのセンターでは良い数値が出ていない(特にUZR)点が気になります。
とは言え、センターを守る選手でこれほど安価にキープ出来、なおかつ優れている選手は他には居らず、期待したいところです。 (Cespedesの契約の巨額さ!)

estoppel さんのコメント...

5年目のNatsファン さん
コメントありがとうございます。
背番号もSpanの2を引き継いだことですし、バットではSpanくらいの活躍をしてくれると期待しましょう。単年で言えばSpan級で十部。それを大きな故障なく4、5年続けてくれればこのトレードは成功だったと評価していいはずです。
守備についてSpan並みを求めるのは無理だと思います。ひとまず1,2年センターを守ってくれれば、Andrew StevensonかVictor Roblesが後を引き受けてくれるはず。そうすれば両翼に回ることもできます。
この契約のポイントはなんといっても安さ。この資金をほかの補強に回してくれることを期待しています。まずはブルペンのはずなのですが、FAのトップ3クローザーは消えてしまいました。FA市場に残るのは超軟投派のBrad Ziegler?うーむ。またトレードってわけにもいかないでしょう。どうしたものでしょうか。

5年目のNatsファン さんのコメント...

こんばんは。ブルペンの整備はここ数年常に課題ですね。特にポストシーズンを勝ち抜く上では絶対に強化しなければならないと思います。Zieglerはいい投手ですが、クローザーには物足りないですよね。若手の台頭を待つか、でもなかなかいきなりクローザーというのも難しいですし、かと言って内部昇格もできなさそうですし。Rizzo GMのお手並み拝見というところですかねえ。

estoppel さんのコメント...

5年目のNatsファンさん
ありがとうございます。
Zieglerはマーリンズと2年1600万ドル程度で合意という報道が出ていますね。それくらいなら出してもいいだろうにと思いますが、またもナショナルズは競り負けたようです。うむむ。
これ以上トッププロスペクトは放出してほしくないので、Koda Glover(か、Gloverに故障懸念が続けばBlake Treinen)に引き継いでいくことを含みつつ開幕はShawn Kelleyでもいいような気がしてきました。