2013/12/12

2013年7月~11月のロースターの動き

大変ご無沙汰しております。

本格的に再開というわけではありませんが、Doug Fisterトレード獲得のニュースに触発され、久しぶりに更新してみることにしました。まずは7月のブログ更新停止以来Fisterのトレード獲得までの主なロースターの動きをまとめました。

この後、Fisterのトレード、Nate McLouthとのFA契約などについての記事を準備しています。さらに年末までに2013年シーズンレビューを書ければいいなと思っています(が、期待しないで下さい)。

● Cole KimballをDFA
6月末に(ブログを休止する前のことだったのに見落としていました。)ブルペン右腕のCole KimballをDFA。手を上げる球団もなく40人枠から外れると、シーズン終了後にマイナーリーグFAでの退団となりました。2010年に評価を上げ、翌年5月にメジャーデビュー。力のある速球で押す投球で将来はクローザー候補と期待させましたが、わずか12試合に投げたところで肩を痛めて離脱(その前から痛かったが無理をしていたとのこと)。手術後、リハビリ登板を続けてきましたが今季も満足に投げられず、ナショナルズでのメジャー復帰は叶いませんでした。(肘とは異なり)やはり肩の故障は重かった。このページの右上のアバターに起用して応援していた選手なので、とても残念です。他球団でもう一度メジャーのマウンドに戻ってくることを祈っています。

● Scott Hairstonをトレード獲得
7月8日。代打陣強化の目的でScott Hairstonをトレードで獲得。33歳の外野手。いわずと知れた野球一家の一員で2011年にナショナルズに在籍したJerryの弟。昨季までは左投手に滅法強かったのですが、今季はどちらも打てませんでした(移籍後の数字は.224/.246/.379。これでもカブスでの数字よりはましでした)。多少長打力はあるものの両翼しか守れず足も速くないため、やはり対左投手の代打要員ですが、2014年も250万ドルの契約が残っており残留となります。ベテランのベンチプレーヤーとして数字に現れてこない部分での貢献も期待されているようです。対価として放出したのはマイナーのIvan Pineyro投手。開幕前に個人的注目選手に上げていたドミニカ出身の先発右腕(4月に書いた紹介記事はこちら)。まだ21歳。今季はAで好投し、A+に昇格した後も安定した投球をしていたところでトレード。カブスに移ってもA+でまずまずの投球を続けました。まさか大化けすることはないと思いますが。

● Drew Storenをマイナー降格
NLDS第5戦での悪夢の逆転負け、そしてRafael SorianoのFA加入により、クローザーの地位を失って迎えた今季、開幕から不振が続いていたDrew Storenが、7月27日、AAAに降格させられました。7月24、26日の登板で連続して3失点し、シーズン防御率を5.95まで悪化させたことで、フロント・ベンチも判断せざるを得なくなったようです。しかも、問題はStorenにとどまらず、盟友のTyler Clippardが “It’s one of those things that I think was handled very poorly by the organization.” と公然と球団批判たことでもはやお家騒動。これが今季のどん底でした。そのStoren、このままナショナルズでのキャリアが終わってしまうかと心配されましたが、2週間後の8月15日に再昇格すると、その後はシーズン終了までの21試合に登板しわずか3失点(防御率1.42)と完全に復調。とはいえ、Clippardとともにトレード放出の噂がついて回っています(個人的にはもう一度ナショナルズのクローザーとして活躍するところが見たい)。

● Tanner Roark メジャーデビュー
8月7日にTanner Roark投手がメジャーデビュー。27歳の右腕。当初はロングリリーフとして起用され、9試合22回2/3に登板して自責点わずか3と快投。勝ち運に恵まれてあっという間に4つの白星を記録。9月になると、投球回数制限でシーズン終了となったTaylor Jordanが抜けた後のローテーションに入り、3戦3勝。23日のカージナルス戦で連勝こそ止まりましたが7勝1敗、防御率1.51でシーズン終了。笑いが止まらないほどの活躍でした。速球は90マイル台前半。力で押すのではなく、スライダーを中心に、カーブ、チェンジアップを交えて、コントロールで勝負するタイプ。四死球が少なく安定していました。2008年ドラフトでレンジャーズに入団。2010年のフラッグディールトレードCristian Guzmanの対価としてもう1人のマイナー投手とともに移籍(当時はAA)。大学を卒業後、独立リーグで投げてからドラフト指名(28順目)されたという珍しい経歴の持ち主で、決して高く評価されたプロスペクトではありませんでしたが、じわじわと頭角を現わして遂にチャンスをつかみました。

● Roger Bernadinaを解雇
8月19日、カブスからDFAされウェイバーにかかっていたDavid Dejesus外野手の獲得と、これに伴うRoger Bernadinaの解雇が発表されました。まだ球団がモントリオール・エキスポスと呼ばれていた2001年に海外FA(オランダ領アンティル出身)として入団した最古参の選手でした。「Shark」の愛称でファンから親しまれ、球場にはサメのかぶりものをしたファンが登場。Bernadinaが代打・代走で登場するとファンがサメの上下アゴを噛み合わせるように両腕を顔の前で動かして応援するのはナショナルズ・パークの定番でした(私もやりました)。2012年は代打・代走としてチームのプレーオフ進出に大いに貢献しましたが、今季はまったく打てなかったので解雇も止むを得ない判断でした。守備では再三にわたって素晴らしいプレーを見せてくれました。特に、2008年にメジャーデビューした直後にセンターへの大飛球を好捕しながら負傷退場した日のことはよく覚えています(あの怪我がなければどういうキャリアになっていたかと思わずにはいられないのはたぶん私だけでしょう(笑))。フィリーズに拾われましたがやはり打てず、シーズン終了後に40人枠から外され、FAとなっています。どこかでまたプレーしてくれることを願っています。なお、Dejesusはナショナルズ在籍わずか5日(出場3試合)で23日にはレイズへトレード。対価は当初PTBNLと発表され、9月後半になってマイナー左腕のMatthew Spannと判明。2010年ドラフト25順目。22歳の今季はAでまずまずの結果。左腕ということもあり、ブルペン投手としての期待感はそこそこあります。つまり、Mike Rizzo GMはBernadinaでSpannを獲得したことになります。ストレートなトレードは成立しなかったでしょうから、なかなかクレバーな動きだったと言えるでしょう。

● Kurt Suzukiをアスレティックスに返却
8月23日、1年前にトレードで獲得したKurt Suzukiを同じアスレティックスにトレード放出。返却した形になりました。ナショナルズのポストシーズン進出がかなり厳しいこと、Wilson Ramosがレギュラーとしてほぼ毎日出場する予定であること、そしてSuzukiがシーズン終了後にFAとなることから、いい判断だったと思います。2012年のポストシーズン進出に貢献してくれてありがとうございました。FAとして控え捕手の地位を受け入れて戻ってきてくれれば大歓迎ですが、アスレティックスに戻ってからは打撃も好調でしたから、レギュラーを狙えるところを探しているでしょう。対価として獲得したのはDakota Bacus投手。2012年ドラフト9順目の22歳の右腕で、今季はAでまずまず好投していましたが、未知数。

● セプテンバーコールアップ
今季それ以前にも呼ばれていたErik DavisIan KrolEury PerezJeff KobernusXavier Cedenoに加え、Sandy LeonCorey Brown、そしてメジャー初昇格となるZach Waltersが呼ばれました。Waltersは2011年のフラッグディールトレードJason Marquisの対価としてDバックスから来た24歳の内野手。2010年のプロ入り以来、強肩・フットワークの守備とシュアな打撃で評価されて着実にステップアップし、今季はAAAで29本塁打(ただし、打率、出塁率、三振率はキャリアワースト)と大暴れ。今回のコールアップを勝ち取りました。デビューは9月6日のマーリンズ戦。6回に代打起用されJose Fernandezのノーヒッターを阻止する三塁内野安打を打ちました。長打力のある内野手ということで面白い存在です。なお、40人ロースターに入りながら呼ばれなかった選手で気になったのはDanny EspinosaChris Marreroの2人でした。EspinosaはAAAでも打てませんでした。

● Chris Marreroを解雇
そして10月24日、そのMarreroを40人ロースターから外したことが発表されました。戦力外通告。1週間後、マイナーFAとしての退団となりました。2006年ドラフト1順目(全体15位)で高卒入団。当初は順調に成績を残し、私がブログを始めた2008年初の時点ではBAによりMLB全体で27位(もちろん球団内では1位)と評価されるほどのトッププロスペクトでした。が、その後の2度の大きな怪我(2008年4月右足首、2011年11月右ハムストリング)もあり、素質を開花させることができないままナショナルズでのキャリアは終わってしまいました。思い入れはあるので、どこかで再起してくれるといいなと思います。

● Dan HarenとChad TracyがFA退団
レッドソックスがワールドシリーズを完勝して2013年のシーズンが終了。契約満了の選手がFAとなりました。ナショナルズからは今季期待はずれに終わったDan HarenChad Tracyの2人が退団。Harenはシーズン後半に立て直したのでQualifying Offerをしても(1年1400万ドルで帰ってきてくれても)良かったかなと思いましたが、前半が悪過ぎたのでファンからもあまり反論はありませんでした。早々にドジャーズと1年1000万ドル(インセンティブ、2年目オプション付)で契約しています。2012年に代打の切り札的に活躍してくれたTracyでしたが、今季はダメでした。引退しなければマイナー契約でしょう。

● ルール5ドラフトに向けて
12月のウィンターミーティングでのルール5ドラフトに向けて、40人ロースターの整理が行われ、以下の4選手が40人ロースターに追加されました。おめでとう。
Aaron Barrett, RHP
Sammy Solis, LHP
Steven Souza, OF
Michael Taylor, OF
注目したい選手はSolisとSouza。Solisは2010年ドラフトでBryce Harperに続く2順目指名。2012年にTJ手術を受けましたが、順調に回復し、この秋のアリゾナ秋季リーグでは29イニングで29奪三振、防御率2.19と好投。25歳と比較的年齢が高いこともあり、Mike Rizzo GMは来季ブルペン左腕としてメジャーデビューさせる可能性にも言及しています。Souzaは2007年ドラフト3順目で高卒入団(同期にはRoss Detwiler、Jordan Zimmermann)。プロ入り7年目を終えましたが、まだ24歳。プロへの適応に苦労し2011年まではパッとしませんでしたが、2012年にA、A+で計23本塁打を放ってブレイク。三振が少なく四球を多く選べる選球眼も持ち合わせており、今季はAAで.300/.396/.557という文句のつけようのない打撃成績。さらにAFLでも活躍し、ここまでたどり着きました。ドラフトで高校生を指名する楽しさの見本のようなキャリアです。課題は細かい故障の多さ。健康にプレーできれば、来季のメジャーデビューも夢ではありません。なお、付随してFernando AbadTyler Robertsonの両左腕をDFA。Abadは貢献してくれていたのでここで外されたことは意外でした。アスレティックスが獲得の意向を示し、John Wooten外野手(22歳。2012年ドラフト37順目。今季はAで20本塁打)とトレード。Robertsonはそのまま放出。6月にツインズからウェイバーで獲得しましたが、ナショナルズでメジャーに上がることはありませんでした。

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