2017/02/01

ロースター異動まとめ(2017年1月)

1/13 Neal Cottsとマイナー契約
1/13 Bryce Harper、Tanner Roark、Anthony Rendon、Derek Norrisと年俸調停を回避して1年契約
1/26 Stephen Drewと1年契約、Grant Greenとマイナー契約
1/28 Vance Worleyとマイナー契約
1/31 Joe Nathan, Matt Albersとマイナー契約



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● Neal Cottsとマイナー契約
来季開幕時には37歳となる大ベテランのブルペン左腕、Neal Cottsとマイナー契約で合意しました。スプリングトレーニングに参加します。

ホワイトソックスやレンジャーズで中継ぎとして活躍した強い印象があります。2015年シーズンはブリューワーズとツインズで計68試合に登板し、防御率3.41と悪くない結果を残しましたが、どういうわけか2016年シーズンはメジャー契約を得ることはできず、開幕後もエンゼルス、ヤンキース、レンジャーズのAAAで41試合に登板して防御率3.83ましたが、メジャーで投げることはできませんでした。

どれだけ力が残っているかは分かりませんが、ブルペン左腕の保険としては悪くないと思います。


● Bryce Harper、Tanner Roark、Anthony Rendon、Derek Norrisと年俸調停を回避して1年契約
年俸調停対象だったBryce HarperTanner RoarkAnthony RendonDerek Norrisの4選手とそれぞれ1年契約で合意しました。

Bryce Harper 1362.5万ドル
Tanner Roark 431.5万ドル
Anthony Rendon 580万ドル
Derek Norris 420万ドル

このうち、Bryce Harperの年俸が前年の500万ドルから跳ね上がったことが多少の驚きをもって報じられています。年俸調停対象選手の年俸を事前に推定しているMLB Trade RumorがHarperについて出していた900万ドル程度とかなり大きなかい離が生じたためです。

もっとも、Harperとの契約に関しては複雑な経緯があり、それを踏まえると、まあこんなものかなとも思います。話は2010年のドラフト時にさかのぼりますが、そこから2014年までの経緯は2014年12月に2年契約(2015/2016年シーズン分)を結んだ時の記事をご参照ください(リンク)。この記事の中でカギとなるのは、「2016年の500万ドルについては、仮に2015年の年俸が250万ドルで2015年にHarperがスーパースター級の活躍をした場合には割安になると言えるもの。また、2017年の年俸調停のベースになるのもこの500万ドルとなるため、それ以降の年俸もある程度コントロールできるようになりました。」の部分。その後、ご承知のとおり、2015年にHarperはリーグMVPを受賞する大活躍。2016年の年俸は、もしこの2年契約を結んでいなければ年俸調停プロセスで1000万ドルにも達していたはずと言われましたが、現実にはこの契約のために500万ドルという超格安となりました。Rizzo GMにしてみれば「してやったり」でしたが、Harper側にしてみれば「取りっぱぐれた」という印象が残っても仕方がないものでした。一方2016年シーズンが、一転してHarperとしてはかなり残念なシーズンとなってしまったのもまた周知の事実。これらを前提にしたのが、MLB Trade Rumorの弾き出した約900万ドルという数字でした。球団側としては、これくらいの数字を示すことで年俸調停プロセスで勝つことができたはずでした。純粋にビジネスライクに処理すれば。

しかしそれでは、Harper側としては、「2015年と2016年の成績が逆だったら」とか、「あの2年契約を結んでいなければ」、もっと言えば「Rizzo GMに一杯食わされた」と後悔する気持ちになっても仕方ないところ。実際、交渉の中でそういう見解がBorasから示された可能性は十分あります。

今回合意に至った1300万ドル余りという金額は、昨年も通常の年俸調停プロセスを経ていたとしたら達したであろう2016年の年俸額をベースに、2016年シーズンの成績を踏まえたものと考えて差支えない数字。おそらくは、Harper側の主張にかなり沿ったものでしょう。逆に球団側としては、相当譲歩したと言っていいでしょう。2016年分の経費が数百万ドル節約できたことで満足し、2017年・2018年は市場価格相当を支払ってもいいと判断することは十分合理的ですが、MLBの慣行・年俸調停のプロセスに従えば必ずしも必要ない譲歩です。球団側がこのような異例の譲歩した理由は、あと2年で切れる保有期間を超えての長期契約を念頭に置いて、Harper側の上記のような気持ちを少しでも緩和することにあったことは間違いないと思われます。つまり、ナショナルズは、あと2年間Harperを相対的に低年俸でこき使ってサヨナラするのではなく、真剣に契約延長の意図があることを内外に示したと考えられます。Harperは入団前にヤンキースファンであることを公言していたこともあり、2018年シーズンが終わったらナショナルズあらFA退団し、ヤンキースに(もちろん史上最高額を支払わせて)移籍することが既定路線かのように言われていますが、まだまだナショナルズも諦めていないということです。

「Stephen StrasburgとBryce Harperの時代」として後世に語り継がれる時期が少しでも長くなることが(もちろんその間にワールドシリーズを制してくればなりませんが)、ナショナルズファンの願いです。今回の譲歩によって育まれたであろう信頼関係が、長期契約に向けた交渉の土台となってくれることを切に願います。頼むよ、Rizzo GM、そしてBorasちゃん!


● Stephen Drewと1年契約
ナショナルズとの1年契約を満了しFAになっていたStephen Drewと再契約しました。1年350万ドル+インセンティブと報じられています。2016年シーズンは、耳の病気で頭痛と平衡感覚の異常に悩まされながらも(7月から9月の約2か月間はDL入り)、266/.339/.524の好成績。33歳とはいえ、チームによってはまだサードやセカンドならレギュラーが務まる選手で、再契約は難しいかなと思っていましたが、やはり健康問題が敬遠されたのかもしれません。もちろん、今回のナショナルズとの契約前に身体検査で耳も含めて問題ないことを確認済みです。これでWilmer Difoしかいなかったセカンド・ショートの控えが、かなり厚くなりました。

それにしても、このオフにナショナルズが契約を結んだFA選手は11月のChris HeiseyとこのDrewという、ともに再契約のベンチバットの2人だけ。まもなく2月になるのですが、メジャーリーガーの補強はもう終わりなんでしょうか。。。


● Grant Greenとマイナー契約
29歳の右打ち野手、Grant Greenとマイナー契約で合意しました。スプリングトレーニングに参加します。元々は二塁手でしたが、近年は外野も含めいろいろ守るユーティリティの扱い。

元々は2009年のドラフト1順目全体13位でアスレティックスが指名した選手(ちなみに、1順目1位がStephen Strasburg、10位がDrew Storen。年齢的にも2人と同期)。マイナーでは打ちに打って、2010年から12年頃には全体でもトップ100に入るプロスペクトとして期待されましたが、メジャーデビュー後はどういう訳かからっきし打てなくなり、2013年から16年にかけてアスレティックス、エンゼルス、ジャイアンツでメジャーとマイナーを行ったり来たりの生活。メジャー通算350打席で.251/.286/.339、4本塁打という微妙極まりない成績を残しています。

キャンプではWilmer Difoなんかと最後のベンチの席を争うことになりそうです。


● Vance Worleyとマイナー契約
29歳の右腕投手、Vance Worleyと、スプリングトレーニングへの招待付きのマイナー契約を結びました。

ナショナルズファンとしてはフィリーズで先発を務めていた印象が強い投手。ルーキーイヤーの2011年に11勝を記録しましたが、その後、ツインズ、パイレーツとトレードされる中で次第に成績を落とし、2015年はパイレーツで、そして2016年はオリオールズで、ロングリリーフ・スポットスターターの役回りをしてきました。2016年は35試合(うち4先発)で86回2/3を投げて3.53/1.37という、役目を考えれば上出来な成績を残しました。

現時点ではマイナー契約とはいえ、ぽっかり空いているロングリリーフのポストに収まって開幕を迎え、さらには先発投手陣のデプスが甚だ心許ない今季のナショナルズなのである程度先発としても活躍してくれる可能性は十分あるとみています。


● Joe Nathan, Matt Albersとマイナー契約
「クローザー」の補強はしないままオフが終わりそうなナショナルズですが、2人のブルペン右腕とマイナー契約を結びました。

Joe Nathanはツインズやレンジャーズでクローザーを務め、通算377セーブ(現時点で歴代8位)。この間、オールスター選出6回という大投手です。39 歳だった2014年でもタイガースで35セーブを記録しました(防御率は4点台ながら)が、40歳で迎えた2015年の初めに2度目のTJ手術。それでも引退せず復帰してきたのは立派とはいえ、過去2年間は、計11試合、6回2/3しか投げていません。今シーズン、いきなりナショナルズのクローザーとして大車輪の活躍を期待するのはさすがに無理でしょう。Blake TreinenやKoda Gloverといった若手をクローザーとしてOJTで育成しようというのがチームの方針であれば、Nathanのような大ベテランを保険として置いておくのは悪くないとか思います。契約上、3月24日にFAに戻る権利を持っているようです(よくある3月末より少し早いですね)。それまでに結果を出せば、40人ロースター入りとなりますが、はてさて。

Matt Albersのほうは、メジャー11年間、6球団を渡り歩き、主に中継ぎとして452試合に登板してきた34歳。セーブはありません。昨シーズンは、ホワイトソックスで58試合に登板し、51回1/3を投げて、6.31/1.68という記録が残っています。

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